さとうあきこの活動・育児日記

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2010年 08月 09日 ( 1 )

f0004698_12281691.jpg私が参加したのは3日間のうち、まん中の分科会。5人の保育研究者による、超豪華講座・シンポジウムでした。暑い・熱い盛岡でした。内容を紹介します。忘れないうちに…

◆講座①保育をめぐるこれまでの状況 保育研究所・逆井直紀氏

 全国保育団体連絡会が行った、保育所ホットラインへの相談の紹介から話がはじまりました。「不況の中で見つけた職を手放せず、1歳と5歳の子どもを家において仕事に出ている。来年5歳の子が小学校に上がったら、どうしようもない」など、待機児童の深刻な実態。にもかかわらず、2004年の公立保育園の一般財源化以降、公立保育所は5年間で約1300か所減らされ、入所児童数8万7千人減。その期間、民間立保育園は約1800か所増えていますが、それまで毎年約5万人ずつ増えていた入所児童数が、2006年は273人、他の年も1万5千人~2万人しか増えていません。
 これまで、公的制度(公的責任による保育の実施、最低基準、運営経費の保障)と、関係者の改善運動によって、保育所の普及・発展がはかられてきましたが、今年2010年6月からの給食の外部搬入容認をはじめ、根底から制度が変えられようとしています。
 経済産業省の「産業構造ビジョン2010」で、保育の産業化が提起され、公的支援を縮小し、多様なサービスを提供、事業者に価格設定を認めることが「産業競争力部会報告書」に示されています。
 パテント展開するような事業者が、人件費を効率化してこま切れの保育を提供し、生き残る――ぞっとするような未来図が示されました。

◆講座②「子ども・子育て新システム」と子どもの権利 鹿児島大学 伊藤周平氏

 伊藤氏は、①公の責任を撤退し、②利用者をランク付け(価格付け)し、③サービスを購入させる、新システムのしくみを介護保険に照らして説明しました。介護施設長の「介護保険導入から10年たって、お年寄りを人として見るのでなく、介護度4、介護度5、などの金額で見るようになってきた」という言葉を紹介し、「新システムから10年たったら、子どもが保育度の金額で見えるようになる」と表現。「今起きている行方不明のお年寄りの問題は、かつて福祉事務所が把握していたのが、介護保険課になって保険料の計算が仕事になって起きてきた。新システムになったら、行方不明の子ども、家庭が出てきかねない」と述べました。
 また、「新システムの提言の中では、入所児童を増やすとしているのに、認可保育所をなくすとしている。介護保険は走りながら考えるといってスタートして、転びながら進んできた。今回も、現場からみれば相当ムリな案だが、走りながらやるといってはじまったら大変なことになる」と前置きして新システムの内容を説明しました。
 新システムは、子育て関連の補助金や各種拠出金からなる財源を包括交付金として市町村に交付。給付は①個人給付と②両立支援・保育・幼児教育給付の2階建て。①は、現金と現物の選択が可能とし、就学後の給食費や習い事の利用券に換える方式も検討。②は幼保一体給付が含まれ、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPOなど多様な事業主体の参入を可能とする。
 予想されるトラブルとしては、介護施設が要介護4や5でないと運営がなりたたないように、要保育時間の長い子どもでないと入所しづらくなること、遠足や運動会などの行事に料金の問題で参加できなくなること、儲けるために英会話などの過剰な準備教育に傾くこと、「迎えに行ったら散歩に出ていて保育時間が伸びたから払わない」などのお金のトラブルが増えること、インフルエンザなどが流行すると経営が圧迫されること、給食やおやつなどにも格差が広がることなどが挙げられました。

◆シンポジウム
報告①「幼児教育とは準備教育ではなく、日々の保育のこと」 福島大学 大宮勇雄氏
 
 新システムの子ども指針に「幼児教育と保育をともに提供する」とあるが、このような認識で制度がつくられるのはがまんできない、と大宮氏は述べました。
 文科省が学力テストの結果を、幼稚園、保育園、どこにも行っていない子どもの経歴順の成績だと発表したのは、幼稚園が教育の本流だと示そうとしたのかもしれないが、幼稚園と保育園の連帯をはばむやりかたであることを示しました。また発達はレースではなく、一面的な見方であることを、学力テスト上位の県が大学進学率が良いわけでないことや、今の日本では大学が「もっとも学ぶ意欲があるところ」でなくなっていることも合わせて示し、この見方で行くと、幼児期より小学校、中学校、大人が大事という見方になると指摘しました。
 では、子ども時代の意味は何か。OECDの調査は、世界の流れを二つに分けており、子どもを大人の準備の時代と見るのがアメリカやイギリス。人生の最初の段階として、子ども時代を豊かにしようと考えているのが北欧であることを紹介しました。
 準備としての幼児教育の問題点として、①子どもたちの「今」が軽んじられること、たとえば給食の外部搬入が問題になっているが、「学ぶ栄養があればいい」と考えるのか「おいしい食事の意味」を考えるのかが問われている。②ゆきすぎた準備教育で、他の子よりできることを求めることの意味。郡山で死亡事故を何件も起こした、「東北ラサール幼知園」の0歳からヨコミネ式をもてはやす風潮を例に説明しました。③学ぶ意欲が育つのか。
 そして、本当の幼児教育とは、「意欲を持って学ぶ力」を育てることだとして、キャロルドエッグの研究を紹介し、日々の生活や遊びの中で、その子にとってむずかしいことに挑戦している姿を認めること、日々の生活が幸せであり、おもしろいことが教育だと述べました。
 「幼児教育は生活や遊びそのもののなかにあり、それは保育園にも幼稚園にもある。豊かな生活や遊びがある。お互いを区別するような言葉を使って、『保育と幼児教育』などと、して、保育を託児におとしめさせてはならない」という言葉が大変印象的でした。

報告②「子どもの視点から子育て施策を考える」 帝京大学 村山祐一氏

 「学校教育法でも、児童福祉法でも、『幼児を保育』するとされている。国際的には乳幼児期の教育はECEC(early child , education & care)。法律を守らず、形骸化することは民主主義の危機。児童福祉法24条(市町村の保育実施責任)を守らせることこそ必要」と始めた村山氏は、児童福祉法24条がなくなれば、それと連動する最低基準も無くなることを示しました。
 また、地域主権改革関連法案の、児童福祉法の新旧対照表を示し、国から都道府県に責任が移ること、最低基準は参酌となり、後退する危険性を指摘しました。
 財源についても、子育て関連予算が自治体にまとめてくるとなれば、子育ての関係部署の「分捕り合戦」となり、子どものために連帯することが阻まれる懸念を述べました。
 OECD中、保育所と幼稚園への公費負担は、韓国を抜いて最低となっており、事業仕分けもできないほどの低予算であることが紹介されました。

まとめ「地方から世論を大きく」 大阪保育研究所 杉山隆一氏

 コーディネーターの杉山氏は、他の講師が触れなかった問題点として、子育て予算が「児童割、需要割」という概念で計算されることを紹介。大都市や、大規模な事業者(パテント展開をしているJPホールディングのような)が有利となること、富裕層をターゲットに付加価値でかせぐ事業と、貧困ビジネスの2極化が起こる懸念を述べました。
 また、企業主が「利潤率を割ったら撤退するのは当然」と述べたことを紹介し、赤字にならなくても撤退が起こることも指摘しました。
 「多くの人は新システムの内容を知らない。集会、署名、投書、記者会見など、世論を大きく広げましょう」と述べました。
by s-akiko01 | 2010-08-09 12:28 | 活動あれこれ

2002年4月と2005年4月と2013年5月生まれの3人(ゆうかポン・こうくん・そうっち)の子育て中。山形市青田在住の日本共産党市議、佐藤あき子の日記。


by s-akiko01